サウナに関する戯言 ~サウナストーブとの別れについて~

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この記事では僕のサウナに関する戯言を述べております。今回はサウナストーブの出会い・別れについて持論を展開しております。

目次

サウナストーブ=サウナ室の心臓部

昨今、サウナのメインは水風呂?外気浴?等と質問・意見を述べている方々をお見かけいたしますがサウナのメインはサウナ室だと僕は思っております。至極、当たり前の事だと感じます。

我々、サウナ愛好家にとってサウナを楽しめているのはサウナストーブがあるから。サウナ室という名の箱にストーブを置いて汗をかいている。これも至極、当たり前の事を述べております。

言わば、サウナストーブはサウナの心臓部という事です。

サウナストーブの変更について

新規に出来た施設等は全てが新しいのでサウナストーブに関して言えば出会いとなります。

ただ長年、運営されている温浴施設においてはサウナストーブもあくまで機械である為に故障や部品製造中止等でストーブを入替しなくてはいけない時期もやってきます。これは別れです。

今回、僕が述べたいのは新規施設でのサウナストーブの出会いではなく、別れについて書かせていただきます。先に結論を一言で表すと…

現サウナ界のサウナストーブとの出会い = 1回行けばいいや・リピート無し(また入りたいと思わない)

事例 ガス遠赤外線湿式ストーブ→オートロウリュ

こちらは僕が仕事で携わる某施設さんのサウナストーブのリニューアル事例です。高温ドライサウナではありませんが湿式サウナのリニューアル前のサウナストーブです。

  • 名称:ガス遠赤外線湿式サウナヒーター
  • メーカー:(株)巴商会
  • 製品・型式:SR-115-RB
  • 製造年月:2003年4月
  • 運用温度:50℃~60℃ 約5分に1回程の散水

ガス遠赤外線ストーブの湿式であり、写真の通り、放熱管下部に設置してあるストーンに定期的に散水・噴射して蒸気を発生させて湿度を加えているストーブでした。現在で言えばオートロウリュに近いですね。

ごく稀に噴射しないトラブル発生時は大体、上記写真の白い布が乾いている時です。現在のオートロウリュは水道直結ですのでその心配はいらないと思いますがやっぱり20数年前は多少のアナログ感があって可愛いストーブでした。

ガス遠赤外線ストーブの湿度発生ですと銭湯サウナ等でたまにお見かけするコンフォートサウナがありますが湿度の生み出し方が異なります。

およそ20数年前からこのタイプのストーブで湿度発生しているのは今となれば大変貴重なストーブだったんだと改めて感じます。

ただ導入から20年経過して部品供給が終了し、メーカーからもメンテナンス不可能との達しがあり、このまま使い続けては事故が起きる危険(例:ガス式なので一酸化炭素が漏れ出す等)があるのでサウナストーブを変更せざる得なくなり、リニューアルいたしました。

新たなストーブに生まれ変わりました。所謂、筒型のあの仕様となりました。トレンドですね…。ただよく見るikiストーブ違ってエレメント部がしっかりしております。

リニューアル後の詳細ストーブは伏せさせていただきますが、高温+オートロウリュとなりました。天井からのウォーターセレモニーですね。もはやジャングルのような湿地帯となりました。

ウォータードリッパ…とても嫌なネーミング。高温カラカラサウナ愛好家の僕からしますとネーミングだけで敬遠してしまいますが今の自称サウナー達はこれをパーティー並に嬉しいんでしょうね。

サウナ室が全く別物になってしまう可能性

結論から先に述べるとサウナストーブの別れによってサウナ室という名の箱が全く別物に変わってしまうということです。

昨今、サウナの時代変化によりフィンランドサウナを真似たロウリュが当たり前となってきております。サウナブーム前は高温ドライサウナ=対流式・ガス遠赤外線ストーブが主流となっていた平成時代のサウナから令和になり、上記のように大半の新規施設、そしてリニューアルしたスーパー銭湯・公衆浴場、新規ホテルサウナ等もオートロウリュ(稀にセルフロウリュ)は当たり前となってきております。

昭和末期~平成初期にガス遠赤外線ストーブが一気に広まったように令和のサウナはオートロウリュが必然のような業界となってしまいました。施設側の立場で考えればトレンドに乗っかるのも至極、当たり前という意見も理解できます。

現に私も巡った施設の中で幾つものサウナ室がここ近年でガラリと変わっていってしまいました。もう私が行った時のサウナ話なんて当てにならない程に変わってしまっております。

それを吉と思うか?凶と思うか?これはあなたのサウナ室への考え方次第でありますがもう一つの懸念点としてサウナを知らない施設の中の人が流行っていて集客になるからと全てトレンド寄りのストーブへ安易に変えてしまう所が多くみられます。まぁビジネスだから仕方ないけど。

サウナストーブそのものが変われば温度・湿度含めて今まで体感していたものがガラリと変わったサウナ室となってしまう事です。

冒頭で述べた通りにサウナストーブはサウナ室における心臓部です。心臓部が変われば空間、人間で言えば血流みたいなもんが変わるのは当たり前。

サウナは替えが効かない

僕みたいなサウナ愛好家にとってみれば基本的に温浴施設に行こうが温泉含めた湯には基本浸からないので施設評価の基準が全てサウナ室・水風呂のみとなります。サウナは付随ではなく、メインと考えているので。

サウナストーブが変わればその施設のイメージ自体がガラッと変わってしまう事になります。これまでにも昔は時より通っていた施設もサウナストーブが変わり、足が向かなくなった所も多数存在します。

逆を言えばそのおかげで今まで軽視していた施設に足が向くようになったと逆のサウナ閃きが生まれた事も事実です。

見出しのサウナは替えが効かないというワードはサウナ室は基本的にどこの施設も1つがほとんどです。大型施設ですと高温サウナにプラスしてスチームや最近ですとセルフロウリュ式と分けたりしておりますが僕は高温カラカラサウナ至上主義です。

例えるなら今まで好きな家系ラーメン屋が急遽、味噌ラーメン変えたようなそんな感じです。ただラーメン屋なら同じ店の中で家系ラーメンをベースに新メニューとして味噌ラーメンはじめましたと展開が可能です。

ただサウナ室は一つしかないので替えが効かないのです。もし替えるなら他の自分好みの施設に行くしかないのです。

サウナブームによって都内近郊含めてサウナがある所は増えました。ただお伝えした通り、昨今のほとんどが湿系サウナが量産されていく未来が見え始めている事に不安を感じております。

変わらない良さ=本質的価値

その中でも変わらない所もある。僕が日常サウナで利用しているヨコヤマ・ユーランド緑様はガス遠赤外線ストーブです。2023年に特に気にかけずにボッーとサウナに入っていて、ふとストーブを見ると新しくなっていることに気付いた。

ストーブの規格もサイズも全く同じ。セッティング・設定も同じまましれっとストーブが新調されておりました。大半のお客はストーブがどう変わった等、気にせず、気付かないと思いますがこのさりげなさに僕は刺さりましたね。

普段からどういう客層の利用者が多いか・立地・環境を理解しているからこそ何も変えずに継続してくれるこの姿勢に施設の器量の大きさが垣間見れます。

悪く言えば平凡、面白みがないかもしれないですが日常的利用者が多い場所では実家にいるような変わらない安心感を思い出せてくれます。世の中は目まぐるしく新しい物が生み出されておりますが人間の懐にはいつの時代になっても安心感を求める場面が必要だと思います。

変わらない良さもある…。

何が言いたいか?

私はアンチ高温多湿です。昨今のサウナ室リニューアル・ストーブ入替は上記で述べた通り、ほとんどがオートロウリュとなっております。

汗をかく意味は何か?と考えていくと昨今の潜熱による無効発汗を推進する意味を人間の発汗メカニズムから考えて欲しいのです。

そもそも無効発汗・有効発汗とは?

無効発汗とは?

体温調節に作用しない汗であり、皮膚表面に水分(液体)として存在します。無効発汗は、体内の水分が無駄に失われている状態です。

出典:発汗の基本/株式会社スキノス

出る汗と蒸発する汗の量は、必ずしもイコールではありません。汗の量が蒸発できる量(最大蒸発量)を超えると皮膚表面に液体として存在するということは目に見える汗です。

ですが汗は蒸発しなければ身体を放熱することはできません。何とか体温を下げようと、さらに汗を出します。汗をかいても、体温が下がらないのは身体の冷却が有効的に行えない悪循環となります。

日常で例えると急な雨で衣類が濡れてしまって、風邪引くから着替えなさいと親に言われたことないですか?これも身体の発汗メカニズムで例えると衣類が濡れてしまっているので身体の体温調整が上手く機能しなくなる事が原因なのです。

有効発汗とは?

体温調節に作用する汗であり、蒸散水分(気体)として存在します。

出典:発汗の基本/株式会社スキノス

無効発汗と真逆に考えてみますと高温カラカラ100℃が王道と謳っているのは単なる好き嫌いではなく、上記のような根拠に基づいて発信しております。

以前につくば湯〜ワールドさんのロッキーサウナの真意の記事にて快適指数の説明をさせていただきましたがロッキーの真意含めて全てここの発汗論に通づるわけです。

発汗はもちろん温度・湿度に関係してきます。自分の好き嫌いの話は別として温湿関係での発汗につきましてサウナ室で例えると下記の通りです。(一般的なドライサウナ例です。ミスト・スチーム系は参考外)

低湿のサウナ室

高温カラカラで汗が出ない、目に見えない

湿度が低い為、かいても汗がすぐに蒸発している=有効発汗

汗が蒸発している為、身体の体温調整が効率よく行われている

高湿のサウナ室

目に見える汗が多く、汗をかいていると錯覚

湿度が多い為、汗の量が蒸発できる量(最大蒸発量)を超えて肌に汗が残る=無効発汗

蒸発できない汗が残る為、身体の体温調整の効率が悪い

恐らくここまで説明すれば高温カラカラサウナの意義やアンチ高温多湿の意味もご理解していただけると思います。この発汗の仕方により僕の経験上、その後の水風呂の気持ち良さにも大きく影響してくると感じます。(だから世間一般がいうここの水風呂水質最高とか1㎜も信用しておりません

上記の無効発汗・有効発汗の仕組みなんぞネットで調べれば幾らでもヒットしてきます。理屈ばかりでそれを知った所でどうなんだ?っと僕も内心思ってます。

ただそれを知った上で大事なのはサウナ室とどう向き合い、己の経験をいかにサウナと結び付けて発信していくかだと思うんですよね。

無効発汗・有効発汗に関連した僕が考える各種ストーブにおける第一次発汗第二次発汗論や僕がよく表現する汗のかき負け・アウフグースの意味についてもいつか記事にしたいと思っております。

余談ですが上記出典の株式会社スキノス様は発汗計測技術等を研究されている会社でとても面白い発汗計測計や発汗についての詳細も記載されておりますので是非、ご覧になってみてください。(案件とかで発汗について紹介した訳でありませんから

発汗についての簡易まとめ

簡潔にまとめると湿度が上がると温冷感が増加して快適感が減り、高温多湿となれば温熱的不快感も高くなるという事です。

ロウリュ・セルフロウリュが熱く感じるのは蒸発できない汗が残って、きちんと身体の冷却・体温調整が出来ていないということなのです。

ですが現在のサウナトレンドはその真逆を突っ走ってますね。いかに快適に入れるかではなく、ロウリュ等による温冷感を重視したエンタメ・体験のサウナ提供となっております。

時代が時代だから勝手にやってくれと思っておりますが逆の発想で何もしない・変わらない高温カラカラサウナを提供している施設がいかに大事か?又はそういう施設は絶対に残していかないとダメだと考えます。

言わばロウリュ、オートロウリュ、セルフロウリュ、アウフグースというトレンド的商品力でなく、本質的な価値と向き合っていくサウナ界隈となって行って欲しいですね。

さいごに

サウナストーブの変化について僕が思う事を書かせていただきました。恐らくこいつは何を言ってるんだろう?っと思う方が多いかもしれないです。発汗に関しても湿度が多かろうが水風呂入っちゃえば関係ない等と仰る方もいるかもしれないです。

施設があってのサウナであるのはもう当たり前の感覚です。批判があろうがそんな平和ボケした話なんか通り越して先の話をしております。ただ流行っているからとか自分が楽しめればそれでいい等と微塵も思っておりません。僕は今まで述べた通りの事を日々、考えながらサウナを楽しんでおります。

ストーブの変化にしろトレンドに乗っかるのは至極、当たり前だという事ももちろん理解しております。ただ何でもかんでも施設ばかりを崇めていたって良いもんは生まれないんです。

サウナとは何ぞや?を根本的に突き詰めていき、そういう方が一人でも増えて、サウナに携わって貰わないと良いサウナは一生、空想的で終わってしまう。

ビジネスだからとかそんな話を抜きにしてただ単純に自分が思う良いサウナ室の在り方を発信したいだけなんです。トレンドに乗っかってみんなが知っているサウナばかりでなく、今回の記事のような鋭角的なサウナ観点を持つともっとサウナを観る視野が広がる事を思い描いて、書かせていただいております。

誰がなんと言おうとここは僕のフィールドです。

そうこれが…


シェアしない方がいいと思う…。
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この記事を書いた人

タキオンのアバター タキオン サウナ人

主に神奈川県内・東京都内のサウナ施設や健康ランド・スーパー銭湯・公衆浴場・ホテルサウナ等に出没。年に数回サウナ旅で全国各地のサウナと水風呂を探究。訪れた温浴施設は1,300件以上。昭和サウナカラカラ100℃・水風呂18℃が王道のサウナ道である。

詳しいプロフィールはこちらのリンクよりご覧ください。

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