平尾温泉 みはらしの湯
サウナ室について

- サウナ室内温湿帯
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約92℃(サウナ室内温度計より)ですが体感は90℃下回る。湿度ムンムンでもなく、オーソドックスなガス遠赤外線サウナという感じ。
- サウナストーブ
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巴商会のガス遠赤外線ストーブがテレビ挟んで正面に2基。壁材は下半分は木壁、上半分は白基調のセラミックファイバーのような断熱ボードっぽい(見た目)
- 形状・構造・キャパ
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座面配置は1段1段の座奥が広めの緩やかな5段式タワー形状で18人は入れるくらいのキャパ。ストーブの設置位置から出入り口の造りも個人的には素晴らしい。出入り口の天井隔壁の設置は面白い。
- 換気・快適さ
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特に息苦しさなく、割と快適に入れました。浴室内換気が抜群によく、きちんと考えられている点がサウナ室にも繋がっていると思われる。
- その他
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間引きされておりますが常設マットあり。全体的に座板・壁材含めて綺麗なサウナ室。
※テレビの有無/照明・照度/香り等の記載はサウナ室の本質的な部分に関係無いので省略させていただきます。
ガス遠赤外線輻射もグリル感を感じられる程に強い訳ではありません。サウナ室のセッティングだけをお伝えすると突出した所はあまりないサウナ室です。
オーソドックスなサウナ室で乾いた感じはなく、並湿程で体感値も悪くないサウナ室で万人寄りのサウナ室です。地方でここ近年に出来た施設でぶっ飛んだセッティングの所はほぼありません。
悪い意味で保守的なサウナばかりが増えて、特徴あるサウナ室は今後、絶対に産まれないですよ。
造りに気になる点があり
とても細かい点ですが僕はここのサウナ室に入りながらずっと気になっていた点が一つありました。下記の写真の通りです。

大体のサウナ室は出入り口の所は写真のような隔壁が無い。何なら初めて見たかもしれない。じゃあここにある意味は何だろうと色んな観点から考える訳です。
❶最上段に輻射熱を送るため
シンプルに箱として考えてみて、座った正面にガス遠赤外線ストーブ2基なら隔壁が無ければ熱(空気)は上部全体に分散されるのは誰もがわかる事です。
❷シンプルにサウナ室の空気をここに集めて、人の出入りで換気を兼ねる
上記の輻射熱を送るために繋がりますが僕の持論としてストーブの位置から出入りの扉が対角にあるサウナ室は換気が割と良い所が多いような気がしております。
普通に考えて空気(熱)を送る元から空気(熱)を逃す為の道標が明確な方が常にサイクルするからです。もちろんサウナ室には割と上部に換気口と清掃用にて下部に排気口があります。それにプラスして人の出入りでの扉の開閉時にも空気(熱)が外部に出される訳です。
ここみはらしの湯さんに限らず、ストーブ位置から出入りの扉の位置をきちんと計算して造られているサウナ室はプロいと僕は考えます。色んなサウナに入って思う事は換気口だけではクリアにはならないです。人の出入りを利用した換気までを考えられる設計士が増えて欲しいですね。
それだとサウナ室の熱さが逃げてしまう?
そんな事はありません。スーパー銭湯のタワー型のサウナ室で2重扉になっている所とかありませんか?あれって単純にスパ銭の場合は熱を逃さないように二重にしていると思われますが遠赤外線ストーブと対流の違いを考えればハッキリ言って意味がないと思っております。
むしろ僕はどんどん室内の滞留熱を逃して、ストーブを燃焼して空間を温めた方が絶対にいいです。よく換気口が空いていると閉じる奴もいますがサウナ室を熱くするなら空気(熱)が逃した方がストーブは燃焼します。
対流式の場合は室内の空気は高温にて自然に対流します。ですが遠赤外線ストーブですとストーブからの輻射だけとなるためサウナ室という箱の温め方が異なる事を念頭に置いてサウナ室と向き合っていただきたいです。
(まぁ…スパ銭とかは出入りが多いからって理由もわかりますが根本的な燃焼の仕方をわかって欲しいです)
水風呂について

- 水温
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11月上旬訪問時の水温計表示は約17℃程。
- 提供方法
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循環濾過式
- 形状
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手すりあり、小下がり一段、4〜5人は入れる
- その他
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引用写真は女性側と思われる
水風呂に関しましては特に述べることはございません。これもサウナ室含めてオーソドックスだと思います。高台にあって、景色も最高な場所ですので循環式だと思いますが水のシャッキリ感はあります。
小下がりの重要性
引用写真は女性側だと思いますが男性側は小下がり1段あって胸まで浸かりますが小下がり1段が円形のようになっていてこれもまたプロい造りだなと感じました。
何が?って事だと思いますが単純に安全面の話です。熱い所からいきなり冷たい水にザバぁ〜んっと入ったら心臓がびっくりしますよね?(掛水してますとかそういう話はいらない)
きちんと足からゆっくり入って、小下がり1段に腰掛けて徐々に冷水を身体に慣らしながら入れるのでこの小下がりは高齢者の方等が浴槽の跨ぎ動作が行いやすい為でなく、身体的負荷軽減の意味合いもあると僕は思っております。

外気浴については触れませんが露天風呂からの景色は絶景ですね。店名通りにさすがのみはらしの湯でした。
浴室内環境(換気)について考える
ここみはらしの湯さんの浴室内に入った瞬間にきちんと浴室内換気について考えられているなっと第一印象で感じました。
浴室又は脱衣所は入浴に支障のない温度に保ち、尚且つ換気を十分に行う必要があります。空気中の炭酸ガス濃度は1500ppm以下、一酸化炭素濃度は10ppm以下であることと浴場法でも定められております。
浴室内含むサウナ室の換気についてはとても難しい所があります。まず目視で確認出来るのは以下の点です。
- 天井の高さ
- 有圧換気扇の設置位置・数
- AHU(エアハンドリングユニット)の設置等
❶天井の高さ
上記の通りにこれに関してはスーパー銭湯や健康ランドの大きいキャパの施設は大概は天井が高いです。もちろんキャパ数に応じての設置基準等も存在します。
詳しい法律等は分かりかねますが色んな施設を巡る中で時より冬の時季となると浴室内が湯気等で悶々としている所などありますよね?
至ってそうなる所は大体、天井の高さが低い影響により逃げ場を失った空気達が天井付近に停滞してしまうのです。高い天井の施設はその上に排煙窓や❷有圧換気扇が設けられております。
高さの他に天井勾配を付ける等の工夫が必要です。天井勾配を付けると湯気による水滴の落下を防ぐ効果もあり、湯気の逃げ場も勾配先に換気扇を設置すれば効率良く、浴室内換気が行われます。
❷有圧換気扇

一般的な換気扇は窓や外壁に取り付けてあると思いますが空気抵抗があると極端に風量が低下してしまいます。ただ有圧換気扇は風量が低下しないように空気に圧力をかけて流れをつくる(静圧)ため、外の環境からの影響を受けにくく室内空気を循環させる役割があります。
大箱の施設等、大量の空気を換気する際に使用されます。風量が調整できるタイプの設置の方が臨機応変に対応できます。私の仕事で関わる所は調整できないので何とも…。
❸天井埋め込み式換気扇又はエアハンドリングユニット

エアハンドリングユニットとは簡潔にお伝えすると大空間を空調することに適した空調機です。
オフィス、商業ビル、病院、工場など様々な建物において温度、湿度、清浄度といった空調の質や精度が求められる空間にも適した機器です。略してエアハン・AHUと言ったりします。
空気調和機の事です。仕組みについては上記の引用図を見てください。主に人が混雑する場所はCO2濃度(二酸化炭素濃度)・コロナ禍等で室内換気を効率よく行うために必要性が注視される事も増えてきました。
ただ温浴施設ですと大箱の所やロビーや休憩室等に設置されることはあっても浴室内に設置している所は中々、お見かけしません。長野県の温浴施設でこの前たまたまお見かけしました。
浴室内ですと有圧換気扇の他に天井埋め込み型の換気扇の設置がほとんどです。
浴室内換気とサウナ室の関係性
普段、サウナに行こうが温泉に行こうが浴室内の換気について考えた事はございますでしょうか?おそらく設備絡みに携わる方でないと気にされないと思います。
露天にサウナ室を設置している所は話は別ですが大概の施設は浴室内にサウナ室が設けられておりますよね?サウナ室についてで少し触れたように人の出入りでサウナ室の換気の良さに関わる事はお話ししました。
ただ給気はサウナストーブ付近からですので浴室内と関係ないと思われるかもしれません。ですが同じ空間に隣接しており、少なからず空気の入れ替わりは同じ空間内で行われるのならサウナ室との関係性は多いにあると僕は思っております。
大箱のスーパー銭湯等ですと空間が広い為、あまり感じない部分があると思いますがサウナ専門店等、コンパクトな浴室ですと浴室内換気の重要性は大いに関わってくると思われます。
難しい所は逆にサウナ専門店の場合は利用人数がスーパー銭湯のような大箱と違うので若干の空気感が違う所もあります。コンパクトな浴室で混雑しているサウナ屋には浴室内換気について真剣に取り組んでもらいたいですね。
みはらしの湯でなぜこれを議題にしたか?
パッと見で平尾温泉 みはらしの湯さんの浴室内には上記の有圧換気扇が3ヶ所設置されております。そして天井も高い。
基本的に洗い場(カラン)の上部に1ヶ所、規模によりけりですが浴場内に1〜2ヶ所設けられるのが一般的です。みはらしの湯さんの場合は浴場内に計3ヶ所設けられており、洗い場の上部と水風呂の上部に1ヶ所と露天入口の3ヶ所にありました。
露天入口の換気扇は運転停止しておりました。もしかしたら露天入口扉の人の出入りで換気を行えているので冬季又は混雑時以外は運転停止にしている可能性か浴場内の1ヶ所が故障時の緊急用に設置していると勝手に仮定しました。
換気扇の設置位置・数については浴場法でも上部に換気扇の設置しか明記されておりません。ですので何も考えずに設置したんだな〜っと思う施設もあればここみはらしの湯さんのように適切な設置位置・数を計算していると感心する施設もあります。
感心するのは施設に対してではなく、ここを設計した人・会社ですね。サウナ室でもそうです。オーナー自身がサウナが好きでサウナに拘りがある場合は話は別ですが大半は設計者・施工のサウナ知恵がほとんどのケースです。
何が言いたいか?
温浴に関わらず建物内の可動は全て機械である事です。
目に見える部分は清掃、水質・衛生管理は客の立場ではわからない裏側の部分。換気含む空気調和というものは体感の部分です。
もちろんサウナ室ならストーブが壊れたら利用できない、温泉なら浴槽に供給できないなら利用できない、浴室内の空調含む換気扇等も故障が発生したら営業に支障が出る程、大事だということをお伝えしたいのです。
僕の事をよく知る人達はサウナ室の換気が悪い等と僕はよく言うな〜っと思われていると感じます。全ては箱の中の空間で生かされているのが人間ですからサウナに関わる事は全て空間論だと僕は思います。
サウナ愛好家であるならサウナ含む換気・空気調和についても考えていくと僕がサウナでアンチロウリュを提唱しているのも少しはご理解いただけると思います。(そもそもロウリュは換気の為の認識ですが日本の捉え方はそうでは無い)
さいごに
良いサウナとは?に繋がる
今回は後半で述べている事は直接的にサウナメインのお話ではありません。ただ良いサウナとは?の一つとしてやっぱり換気=快適・過ごしやすさに直結する部分だと思い、サウナ室のみではなく浴室内換気について考えてもらうとサウナ室内の換気の良さについても一考していただけるきっかけになると思い、書きました。
サウナはサウナなんですが全てが関わる部分である事をお伝えしたかったです。ですが話はマニアレベルにならないと難しい部分であり、ほとんどの方が興味ないと思われます。
サウナはエンタメ化してきておりますが、本当にサウナが好きであればサウナを中心に付随するもの全てに興味が湧くのは至極、当たり前だと感じます。
細かい視点からのサウナ眼力・経験論
サウナに関して健康面や安全な入り方等の記事の方がインプレッション数は伸びると思われますがある程度、サウナ歴を重ねていくとそんな話どうでもよく無いですか?当ブログは初心者向けでは無いのでそんな記事は書きません。
サウナに関わる謎な部分を追究していきたいだけなのです。それの一つとして換気含む空気調和について今回は書かせていただきました。私が述べている事は全て経験論です。明確性には欠ける所もあるかと思います。
ただ長年サウナと向き合ってきて感じる所は調べれば誰でも分かるような事柄にはあまり興味がありません。学生で言えばいっぱい勉強して良い大学、一流企業に入るようなもんです。
ただ社会人として一番大事な事は知恵です。知恵は色んな経験からしか得られません。だからこそ根拠に基づくとか医学的な事なんかよりこなしてきた数を武器に経験論から繰り広げるサウナ論を展開している人が私は好きです。それこそがその人の個性であると思います。
2025年は本質的な部分が注目される時代になると私は勝手に予測しております。今までの経験を活かしたサウナ知恵・経験論をもっともっと展開していきたいです。
そうここは誰がなんと言おうと…

施設概要
施設名称 | 平尾温泉 みはらしの湯 |
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運営会社 | 平尾温泉株式会社 |
住所 | 〒399-4501 長野県伊那市西箕輪3480-1 |
TEL | 0265-76-8760 |
営業時間 | 11:00 ~21:00 |
公式HP | 平尾温泉 みはらしの湯 |
特記事項 | 各種電子マネー等利用可能 |